「笑い」の健康効果が見直されています!

Column


笑うことで免疫が活性化!笑いの持つ健康効果

「笑いと健康」の関係が今注目されています。笑いが心身の健康の向上に寄与することが、様々な科学的研究により明らかになってきました。

 1991年にこんな実験が行われました。ガン患者を含む19名を集め、吉本新喜劇を鑑賞してもらいました。鑑賞の前後でナチュラルキラー細胞(NK細胞:リンパ球でガン細胞に攻撃をかける)がどのように変化するか測定しました。その結果、基準範囲内、あるいは基準以下の人は活性度が上昇し、元々基準以上だった人の半分は、基準範囲に近づいたそうです。NK細胞の活性度は高すぎても低すぎても問題がありますが、大半が正常に近づきました。笑うことによって免疫が活性化することを科学的に証明した研究として、世界的にも注目されました。

他にもさまざまな健康効果が

笑いの持つ健康効果は、免疫の活性化だけにとどまりません。こんな実験の報告もあります。リューマチの患者さんを林家木久蔵師匠(今の木久扇師匠)の落語を聞いてもらいました。患者が落語を聞いて大いに笑った後には、様々な尺度で痛みの強さが有意に減少し、ストレスホルモンや免疫に関係する物質の血中濃度も有意に減少したそうです(有意にというのは「統計学的に見て意味がある」という意味です)。リューマチは精神の状態によって症状が大きく変わると言われており、笑うことによって精神が安定したことが痛みの減少につながったのではないかと言われています。

 

ちなみに、この実験の結果に喜んだ木久蔵師匠は、「笑いは病気にキクゾー」と言ったそうです。いかにも木久蔵師匠らしいオチのつけ方ですね。

 

これ以外にも、糖尿病の患者さんの食後の血糖値上昇の抑制に笑いが効果があったという実験結果もあります。日常的に良く笑う人の方が、ほとんど笑わない人に比べて抑うつ傾向になりにくかったり、認知機能低下のリスクが低いという研究もあります。このように笑いには様々な健康効果があることが実証されつつあります。皆さんも日常生活の中に笑いをもっと取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

ここに挙げた実験は、短期的には効果があるということを実証できただけであり、笑いのもつ長期的な効果についてはまだ解明されていない点も多々あります。今後の研究の進展が期待されます。

日本人高齢者の「幸福感」の現状

内閣府 平成20年度「国民生活白書」より引用

ここで少し話を変えて、日本人高齢者の(主観的な意味での)幸福度のお話をしたいと思います。自分はどのくらい幸福に感じているかについて数値で表したものを「主観的幸福度」と言います。政府は、毎年主観的幸福度について調査しています。このグラフは、平成20年の国民生活白書の引用です。主観的幸福度の平均値を年齢ごとに集計し、グラフにしたものです。青い線がアメリカ人の主観的幸福度、オレンジの線が日本人の主観的幸福度を示します。このグラフを見ると、日本人は年を取るにつれて幸福を実感しにくくなっていることがわかります。

 

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?その原因のひとつは、欧米諸国に比べて日本人高齢者の社会的結びつきが弱いことであると言われています。普段から近所づきあいが希薄であったり、いざというときに頼りにできる友達が少ないと言った「社会的孤立」が、主観的幸福度にもマイナスの影響を与えている現状が浮かび上がってきます。


「社会的孤立」が招く「生きがいの消失」

平成23年度の国民生活白書には、高齢者の社会的孤立についての項目があります。社会的孤立が招く様々な問題点について取り上げていますが、一番の問題として取り上げられていたのが「生きがいの消失」です。健康に不安を抱えるなどして外出する機会が減ってしまうと、人と話したり笑ったりする機会が減ってしまい、生きがいの消失へと繋がる恐れがあります。

笑うことによって心を豊かに!

最近人と会ったり話したりする機会が減ったと思う方は、ぜひ日常の中に「笑い」を取り入れることをほんの少しだけ意識してみてください。そして、まだまだ元気なアクティブシニアの方は、最近ご病気等で外出する機会が減っているお友達の家に時々顔を出しておしゃべりしてみてください。家族や気の合う仲間と笑って時間を過ごすことによって、人と人との繋がりを実感し、心が豊かになります。そして健康にも良い効果があります。

私、大道芸人「たっきゅうさん」も、高齢者の皆様の心の豊かさの向上に少しでも資することを願って、ユーモアセラピーの活動を行っております。


参考文献

  • 内閣府(2008)「平成20年度版国民生活白書」
  • 内閣府(2011)「平成23年度版国民生活白書」
  • 井上宏ほか(1997)「笑いの研究-ユーモアセンスを磨くために」フォー・ユー

お問い合わせ


出張のご依頼、お問い合わせなどお気軽にご連絡ください。日にちや料金のみの確認なども歓迎いたします。

お電話からの場合

090-1956-5936(たっきゅうさん直通)


メールフォーム

メモ: * は入力必須項目です